弁護士山下瞬の自立したい!

お役所仕事にならぬよう、お役所で働く弁護士の日々を綴ります。

詰めて考えるということ

 先日、ご案内したとおり、平成27年関東・東北豪雨災害により被災された方の負担を軽減するため、平成27年度平成28年度及び平成29年度の固定資産税及び都市計画税の軽減を実施するための規則が5月12日に公布・施行されました。

 小山市では、執行部提案の例規(条例や規則等のこと)が成立するまでには、①所管課が原案を作成し、②審査担当課のチェックを受け、③庁議という市の最高意思決定機関で決定後、④全庁横断的な組織である例規審査会における審査を経て(条例の場合は、議会の議決を経て)、⑤公布、施行されるという段階を経ることになります。

 私は、上記②の審査を担当しています。こうした審査業務を「法制執務」と言うこともあります。自治体内弁護士は、法制執務に関与することは少なく、関与したとしても適法性の観点からの審査にとどまることが多いようです。それは、法制執務という分野が一定の職人的要素があるものであり、各自治体には、そうした職人的な人材が既に確保されており、人事当局としては、弁護士には、法律相談や争訟を担当してもらおうという意識が働いていることが推察されます。

 幸か不幸か、私は、公務員時代に、法制執務を担当する部署(政策法務課)を経験しており、しかも、鳥取県を代表する法制執務スペシャリストである上司から、厳しくも厳しい(?)指導を受けておりました(私の審査した案を持っていくと、大きなバッテンや一文字残らず修正されて返却されて返ってくることが多々ありました(+_+))。そのため、経験を生かせるよう、適法性のみならず、「てにをは」から法令用語の使い方、さらには、政策面でも一定のアドバイスができるよう心掛けているところです。

 今回の規則も、出来上がるってみると、数条のたいしたことのないルールになんですが、出来上がりまで紆余曲折ありました。所管課の住民の方のために何とかしたいという気持ちを尊重しつつも、そもそも、地方税法に違反しないかという適法性の議論から始まって、被害緩和を図るのであれば、租税の軽減によるのではなく、助成の手段を取る方がが妥当ではないか、という政策論、すでに減免するルールがあるにもかかわらず、新たにルールを作る必要はあるか、という法体系の整合性など、検討すべき課題は数多くありました。こうした考慮を、法律相談をこなしながら、わずかな期間でしなければならないのです。

 最近は、こうした法制執務は、「政策法務」という学問領域としても注目を集めていますが、やっていることは、地味で地道な作業の繰り返しに過ぎません。それでも、法解釈とはまた違った面白さもある仕事ではないかと思っています。

 そういえば、私の師匠(大澤裕東京大学教授)からは、いつも「詰めて考えなさい。」と指導されていたっけなぁ。師匠、不肖の弟子は、がんばっていますよ!

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