弁護士山下瞬の自立したい!

お役所仕事にならぬよう、お役所で働く弁護士の日々を綴ります。

被災者支援法のニーズ

 9月11日付のニュースサイト「毎日新聞」の記事で、被災者支援法(正式名称は、被災者生活再建支援法です。)について、自治体に対して行ったアンケート調査結果が掲載されていました。8割の自治体が支援法を「改善すべきだ」と考えている様です。

 被災者生活再建支援法による支援金の支給は、原則として、罹災の程度が「全壊」又は「大規模半壊」の世帯に限られることから(法第3条)、基本的に支援金を受け取ることができない「半壊」世帯と雲泥の差となります。

 平成27年関東・東北豪雨災害のような水害の場合では、基本的に床上1メートル以上浸水していたか否かで「大規模半壊」か「半壊」かの判定が分かれることになります(平成25年6月内閣府(防災担当)「災害に係る住家の被害認定基準運用指針」参照。なお、本文中は、あくまで第1次調査に基づく判定の際の基準を分かりやすく示したものであり、対象となる建物、階数、外力被害の有無等の細かい基準に基づき判定がされます。)。そうすると、浸水が1メートルに満たない場合でも、床上浸水に至る場合には、相当な被害を被るはずであり、そうした点に改善の余地があると被災自治体は考えているのでしょう。

 個人的には、私有財産公的資金を投入するのは、謙抑的であるべきと考えますが、被災者支援をどこまで行えば良いのかは、一つの悩ましい問題です。もっとも、国も支援法改正により住宅再建に対して支援金の支給を認める方向に舵をきったのですから、財源的問題はあるものの、支援金の対象範囲拡大について議論となるのは当然の流れかも知れません。

 小山市では、9月議会で提案している「小山市被災者住宅復旧支援条例」がまさに、支援法が基本的に支援の枠外とする「半壊」以下の世帯の支援を目的とするものです。本日12日(月)は、民生常任委員会で当該条例の審議が予定されています。市民代表による議論により、よりよい条例となることを、立案に携わった者として願っています。

http://mainichi.jp/articles/20160911/ddm/001/010/196000c (ニュースサイト「毎日新聞」のリンク)

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ルールをつくってみよう!

 先月25日及び31日に学童保育クラブにおいて、小山市出前講座「みんなでルールをつくってみよう!」を行いました。

 ロースクール時代に実施した出張教室(法教育の取組)は、高校生を対象とするものでしたので、どのように盛り上がるのかを心配しましたが、今回は、小学生が対象であるため、盛り上がり過ぎて収拾が付かなくなったらどうしようと、逆の意味で心配していたところです。

 しかし、そのような心配をよそに、一部元気の良すぎる子はいましたが(苦笑)、マンガの貸し借りが原因でケンカになった友達とどうしたら仲良くなれるかという身近なテーマを題材に、学童のみんなは、活発に建設的な意見を多数出してくれました。

 そうした意見をもとに、①どうしたらけんかをしなくて済むか、②けんかをしたらどうするかという視点から、みんなが納得して、学童のみんなが守るルールをつくりあげていきました。

「暴力をふるわない、約束はきちんと守る、悪いことをしたらきちんと謝る」等の大人にとっては、当たり前と思えるルールですが、自分たちが守れる範囲のものを、自分たちが納得して作りあげることに意味があったのではないかと思います。

 こうして子どもと一緒にルール作りに一生懸命になっていると、大人ってどうなんだろうって思います。国のルールも、地方のルールも、一応、みんなが納得して作っているという建前にはなっているんですよね。

 9月議会には、平成27年9月関東・東北豪雨災害を教訓として、自然災害により被災した住宅の復旧支援を行う恒久的なルールを作成しようとしています。個人的には、私有財産への公金支出は謙抑的であるべきと考えますが、国の法律(被災者生活再建支援法等)も変容してきており、難しいところです。本条例は、小山市民一人ひとりに関わるルールですので、是非関心を持って、議会における議論等を注視していただければうれしいです。

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政策法務研修

 先日、8月9日及び10日に、宇都宮において、政策法務研修を受講してきました。講師は、東京都のOBであり、自治体法務研究会代表を務めておられる江原勲先生であり、法定外税導入や住民訴訟など、豊富な実務経験に裏打ちされた充実した講義でした。

 先生は、法制執務のプロであるとともに、訴訟事務も担当され、争訟評価を前提とした政策法務の必要性について強調されていました。また、「国では、法によって政策を実現するという政策法務の考え方は当たり前のことなのに、政策法務をことさら強調している現状の自治体は、自立できていない。自治体においても政策法務を当たり前にしなければならない。」と、自治体職員にエールを送っておられました。

 先生の政策法務に対する情熱を目の当たりにして、私自身、「政策法務」というキーワードをファッション感覚的に使っていたことを反省する次第です。

 東京都など先進自治体とは比べ物にはなりませんが、小山市でも、少しずつ、政策法務の考え方が浸透しつつあり、国や県のお手本(「準則」といいます。)や他の自治体の条例等を引き写すのではなく、小山市なりの独自性を発揮したものをつくろうとする動きが見られます。

 結局は、例規を所管する所管課の職員さんの熱意次第なのですが(ただ、ほとんどは、法律アレルギーで、お手本どおり、横並びで満足することが多いです。)、熱意ある所管課に対しては、それに応えられるよう私もスキルを磨かなければと思った次第です。

 さて、小山市では、新聞報道もされました、防犯カメラを設置する自治体等への補助金について、具体的な手続を定める要綱を作成し、8月5日から施行しました。

 ルールの設定に関しては、個人のプライバシーとの衝突や防犯カメラによる防犯効果を疑問視する調査結果など、考慮要素の多いものでした。要綱を審査する例規審査会でも、ダメだしの嵐で、所管課の職員さんも大変だったかと思います(課長をはじめ、担当である県警から出向でこられている方や若手職員さんは、苦労されたことと思いますが、最後まで熱心に取り組まれていました。)。

 要綱の大部分は、他の先行する自治体のものを参考にさせてもらいましたが、単に防犯カメラを設置するだけで満足するのではなく、防犯パトロールや安心メールへの登録等の市の施策に協力してもらうなど、一緒になって、地域防犯力を高めていくことが必要であると考え、次の条文を規定しました。

第13条 交付決定者は、犯罪の抑止及び防犯意識の向上を目的として市が行う施策に積極的に協力するとともに、地域防犯力の向上に努めなければならない。

 江原先生も強調されておられましたが、自治体が自立していくためには、自分で試行錯誤し、小さな一歩を重ねていくことが大切ではないかと思われます。

小山市防犯カメラ設置補助金交付制度について 小山市ホームページ

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法務能力向上

 ご無沙汰しております。いやぁ、暑いですね。

 私はというと、日々の相談に対処しつつ、9月議会に提案する条例審査の追い込み作業の佳境に入っております。条例以外でも、徘徊高齢者等のSOSネットワーク制度構築のための要綱や8月からスタートを予定している地域防犯力向上を支援するための防犯カメラの助成要綱の審査など立て込んでおり、この「自己満足ブログ」を書くのを怠っておりました。

そうした中でも、先日、小山市の主任1年目の方を対象とした研修を実施させていただきました(小山市では、主事→主査→主任と昇進します。)。職員の法務能力を向上させることも、我々自治体内弁護士の大きな役割となります。

 今回の研修は、毎月、職員の法務能力向上を図るために発行するニュースレターを発展させたものであり、昨年度試験的に実施し、好評をいただいたので、今年度も実施する運びとなりました。日々寄せられる実際の相談事例を素材にして、法解釈能力や法制執務能力の基礎を身に付けてもらうことが狙いだったのですが、少々難易度は高めであったようで、分かりにくかったという厳しい意見もいただきました。それでも、今後の小山市の中核となる主任さんたちだけあって、熱心に議論してくれました。

 これからも、いろいろな仕掛けを考えながら、職員のみなさんと一緒に能力向上に取り組んでいければと思います。

 さて、早くも7月も終わりますが、今月末には、おやまの夏最大のイベント「おやまサマーフェスティバル2016」が開催されます。昨年は、灯の舞みこしを若手職員のみなさんと一緒に担がせてもらいました。松江の水郷祭も素敵ですが、おやまの花火も迫力満点で負けていません。みなさまも、是非お祭りにお越しください(U字工事も来ますよ!)

oyamanohanabi.com

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明石焼き!

 今日は、東京で開催された日弁連主催の条例制定支援実務研修に参加してきました。地方分権が進み、地域に根差した政策を条例等で実現していこうという政策法務の考え方が広がり、弁護士もそのお手伝いをするためのスキルを磨こうという趣旨の研修です。

 講演されたのは、明石市役所の自治体内弁護士と内閣法制局の方でした。実は、講演された明石市役所の先生は、司法修習生時代に明石市役所における実務研修の指導をしてくださった先生でもあり、市営住宅の明け渡しの強制執行へ同行させていただくなど、貴重な経験をさせていただきました。

 明石市では、全国で初めて犯罪被害者に対する立替支援金制度を創設した自治体であり、今回は、当該政策を実現した「明石市犯罪被害者等の支援に関する条例」の改正に携わった時のお話をしていただきました。国の支援施策の不十分な点を補うという、まさにこれからの自治体に望まれる自主条例の制定に関する仕事であり、自治体間の横並びというジレンマから一歩踏み出す理論と勇気を与えたという点で、自治体内弁護士の果たした役割は大きかったのではないかと思っています。

 先生は、新幹線ですぐにお帰りでしたので、あまり話はできなかったことが残念です。明石での研修時代は、朝は、明石海峡沿いのきれいな景観を見ながら散歩して、夜は、明石焼きを食い倒れていたことを懐かしく思い出します。

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出前講座

 小山市では、生涯学習の一環として、市民の方からの要望に応じて講師が出向き、講座を行う「おやま・まちづくり出前講座」を実施しています。

 本年度より、新しいメニューとして、「みんなでルールを作ってみよう!」という講座を開設することになりました。

 この講座は、法教育を目的として行われるものです(弁護士会教育委員会でなく、執行部局が実施する所はまだ少ないです。)。私は、ロースクール時代に法教育の取り組みと出会い、法教育を実践するサークルに所属し、出前講座を行ってきました。同活動を通じて、母校の学生さん、弁護士の先生方や関係省庁の方々、金沢大学で同じく法教育に取り組む金沢法友会のみなさんをはじめとする、多くの出会いがありました。

 法教育は、小難しい法律の知識を教えるものではありません。法的なものの考え方を通じて、多様なものの見方、バランス感覚、問題解決能力等を養成することが目的であり、今回の講座も、自分たちに身近なルールを作成することを通じて、法律の持つ意味や考え方(公平・公正)を学ぶことを主眼としています。

 これまで、コンプライアンス法制執務に関する研修講師も数多く担当してきましたが、法教育に関しては、対話を通じて、教える方が教えられることが多いように感じます。そこが、また法教育の魅力でもあるように思います。

 この度、市内の学童保育クラブから申し込みがあり、早速出前講座を実施できることになりましたが、対象が小学生ということで、いかに分かりやすく、かつ、講座の趣旨を伝えられるか、講座を実施する8月末まであれこれ考えてみたいと思います。

○おやま・まちづくり出前講座(https://www.city.oyama.tochigi.jp/lifeevent/syougai/demae.html

○母校での法教育の様子(http://matsue-minami.ed.jp/blog/2011/03/post-1170.html

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 今日、窓口対応の中で、目の前で市民の方が涙を流されました。ずっと悔しい思いをされてきたのでしょう。私も適切なことばを掛けられず、行った助言も今思い返すと的外れなものでした。

 何のために弁護士になったのか。行政不信は、行政自身が生み出すものだと、痛感する次第です。

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