弁護士山下瞬の自立したい!

お役所仕事にならぬよう、お役所で働く弁護士の日々を綴ります。

結びにかえて

 突然ではございますが、4月末をもって、小山市役所を退職することとなりました。 5月からは、国家的プロジェクトに参画し、法律家として、新たな挑戦を始めることになります。

 小山市では、約2年間、法律相談、例規審査など法律家としての業務はもちろんのこと、被災者支援や部下のマネジメントなど、様々な経験をさせていただきました。

 現在のところ、小山市に限らず、多くの自治体は、制度疲労による閉塞感に満ちています。誰のために仕事をしているのか分からなくなっている職員が多く存在するのも確かです。

 また、自治体内弁護士という職域も頭打ちで、顧客開拓等でメリットを得られることがあまりありませんから、募集しても人が集まらない状況です。地域おこし協力隊と同様、自治体による当たり外れがあるようです。

 しかし、少なくとも、小山市の若手職員の方々に限って言えば、市民のために働く志をもっておられました。そうした職員をサポートすることを通じて、市民の方に貢献することは、私の一つのやりがいでもありました。そうしてひた向きに仕事に取り組む若手職員の方々にエールを送るとともに、支えてくださった多くの方に感謝しつつ、このブログを終了させていただきます。

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自治体法務検定

 自治体以外では、まだあまり知られてはいないのですが、自治体法務検定委員会(塩野宏委員長)が主催する「自治体法務検定」というものをご存知でしょうか。

 法律関係の資格と言えば、司法試験や行政書士といった国家資格が有名ですが、この「自治体法務検定」は、自治体職員の法務能力向上を目的とする検定試験で、TOEICTOEFLのようにスコア制を採用しており、1,000点満点でクラス分けされます(900点以上の神っている人がプラチナクラス、700点以上のゴールドクラス、500点以上のシルバークラス、500点未満は、クラスなし)

 このようなスコア制を採用していることだけでなく、「自治体法務検定」は、憲法行政法民法といった基本的な法知識を問う「基本法務」と法令の解釈・運用や立法技術を問う「政策法務」の2つの検定で構成されており、前者は、通常の法律試験と同様ですが、後者の「政策法務」に関して言えば、私の知る限り、政策法務能力を測定する検定は、唯一のものと言えるのではないでしょうか(もちろん、単なるマークシート試験に過ぎませんから、この試験ができたからといって条文が作れるようにはなりません。)。

 前置きが長くなりましたが、昨年12月に、高根沢町さんのご厚意で、小山市職員も一緒に検定を受験(団体受験)させていただけることになりまして、係員全員で受検して参りました。

 私自身も、職場の昼休みに検定に向けた勉強会を主催していた手前、リスクしかないのですが、受検する運びとなりました。

 その結果が、先日送られてきまして、受検した係員は見事、全員がクラス認定以上の成績を獲得することができました。私も、何とか基本法務・政策法務ともにゴールドクラスを獲得することができ(プラチナクラスは正直無理ゲーです。)、「弁護士なのに(o´∀`o)σ゛ヶラヶラ (o´艸`)プ」と後ろ指差されなくて済んだのかなぁと、一安心しているところです。

 職員の法務能力向上のため、活用する自治体が増えつつある「自治検」ですが、みなさまも法務能力向上の一環として、チャレンジしてみては、いかがでしょうか?

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2月議会に向けて

 新年あけましておめでとうございます。2017年を迎えて、市役所では、2月議会へ向けての準備が慌ただしくなっております。

 1年を通して議会を開催する通年議会を除けば、自治体では、年4回議会が開催されるのが通常です(臨時で開かれる議会を除きます。)。小山市では、6月、9月、12月、2月に議会が開かれます。

 特に、小山市の2月議会は、県内でも他の自治体と比べて開催時期が早く、そのため、議会へ提出する議案の締切も自ずと早くなるため、事務方は、準備作業に追われることになります。

 我々法務担当としても、(自治体の気持ちを考えない?)国が、法令改正を毎年、年度末ギリギリに行うため、影響を受ける自治体の例規を改正する場合は、いつも綱渡りです(地方税法などは、間に合わないので、議会で事後的に承諾をいただくことになります。)。

 ただ、昨年は、マイナンバーと行政不服審査法という2大改正に苦しめられましたが、今年は、それほど大きな法令改正はないため、昨年よりボリュームは、抑えられたものとなっております(その分、自治体独自の例規を改正していく余裕が生まれます。)。

 とはいえ、地方創生、少子高齢化対策等、小山市の将来に向けた施策を実現していくために必要な改正が多く含まれますので、市民代表である議会において、9月議会における「小山市被災者住宅復旧支援条例」のような活発なご意見をいただければと思っています。

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平成28年鳥取県中部地震について

 この度の平成28年鳥取県中部地震において、被災された方には、心よりお見舞い申し上げます。

 避難所に多くの方が避難しておられ、家屋や農作物等にも甚大な被害が出ているようで、県職員の同僚も、被災者支援に奔走されているようです。

 同じく被災者支援に携わった自治体内弁護士として、被災自治体において、初期に注意していただきたいことは、災害救助法の適用関係です(鳥取県では、現在、倉吉市湯梨浜町北栄町の1市2町に適用されています。)。

 激甚災害の関係や被災者生活再建支援法の適用は、これから対応していけば十分ですが、災害救助法に関しては、適用期間が短く(多くは1か月程度)あっという間に、打ち切られる可能性があります。しかも、延長して欲しい場合は、延長協議を県から内閣府に行ってもらわなければなりません。

 多くの住宅が被災されているようですから、被災した住宅の応急修理の制度について、自治体は、周知を図るべきかと思われます。避難所等と比べ、制度の存在が知られていない上に、自治体が業者に依頼し、現物給付を行うものですから、体制整備だけでも時間がかかります。

 被災者支援等に尽力されている中で、酷な要求かも知れませんが、県民のために、災害救助法のメニューについて、何が活用できるのか、再確認されるようお願い申し上げます。

<災害救助法抜粋> 

(救助の種類等)

第四条  救助の種類は、次のとおりとする。

一  避難所及び応急仮設住宅の供与

二  炊き出しその他による食品の給与及び飲料水の供給

三  被服、寝具その他生活必需品の給与又は貸与

四  医療及び助産

五  被災者の救出

六   被災した住宅の応急修理

七  生業に必要な資金、器具又は資料の給与又は貸与

八  学用品の給与

九  埋葬

十  前各号に規定するもののほか、政令で定めるもの

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小山市被災者住宅復旧支援条例の制定

 ご報告が遅くなりましたが、以前からご紹介しておりました「小山市被災者住宅復旧支援条例」が、議会の議決を経て、9月30日付で公布施行されました。条例及び規則の案文等については、以下のリンクをご覧ください。

 本条例の制定までは、災害発生から、紆余曲折、悲喜交々、いろいろありましたが、市民、議会、執行機関が協働してつくりあげたものと評価できるのではないかと思っています。

 平成27年度関東・東北豪雨災害により被災された方には、制度の案内が届いていることとは思いますが、申請期間は、来年の3月31日までとなりますので、ご留意ください。

 私の方はと言えば、今度は、12月議会に付議する条例に向けた作業が山場を迎えており、法律相談を行いながら、係一丸となって取り組んでいるところです。ふぅ。

小山市被災者住宅復旧支援事業について 小山市ホームページ

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自治振興セミナー

 昨日は、一般財団法人地方自治研究機構主催の「自治振興セミナー」に参加してきました。当該セミナーは、地方公共団体職員の政策形成能力及び法制執務能力の育成・向上を図ることを目的とするものであり、講師陣も豪華で演題も地方創生等の時宜にかなうものでした。

≪講師及び演題≫

・大森彌東京大学名誉教授(地域創生と自治力)

・稲継裕昭早稲田大学政治経済学術院教授(人口減少社会における自治体マネジメント)

・礒崎初仁中央大学法学部教授(分権改革の新展開と政策法務の可能性)

 特に、礒崎先生のご講演については、職場でも「自治体政策法務講義」(第一法規、2012)を座右の書としているので、非常に楽しみにしておりました(ちょうど、ロースクール時代に、刑法の山口厚先生のファンとしてキャーキャー言ってたのと同じ感覚です笑。)。

 先生は、参加者の理解度に応じて講義内容を組み立てられ、地方分権政策法務という眠気を誘うテーマを非常に分かりやすく説明され、「さすが!」と感動致しました。中でも、条例等の政策法務を中心とした「立法分権」による新たな地方分権の展開については、示唆に富むものでした。

 折しも、小山市では、先生が提示された標準的な条例評価基準(①必要性、②有効性、③効率性、④公平性、⑤協働性、⑥適法性に基づく条例評価)を参考に作成した、「事前評価シート」を用いた条例等例規審査における事前評価制度をスタートさせたばかりであり、本日の講義と合わせて、少し運命的なものを感じた次第です。

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励ます条例

 本日、小山市議会の民生常任委員会において、「小山市被災者住宅復旧支援条例」が審議され、委員会の指摘により、条例案の一部を執行部(条例を提案した市長側のことです)において訂正することとなりました。

 議会に提案される「議案」については、予算ではなく、条例案が修正されるという事態は、小山市ではほとんど例がないらしく、訂正をどうやってするか、訂正方法自体を議会事務局等と頭を悩ませるというくらいの珍しい事態でありました。

 訂正箇所は、被災者が保険金を受け取った場合には、当該保険金分を支援金の対象経費より差し引くという部分についてであり、議会からは、調査することが困難ではないかという指摘がありました。実は、我々法務担当としても、別の観点から、すなわち、リスク回避のため保険を掛けていた人が保険をかけていない人よりも割を食ってしまうのではないかと疑問に感じていた部分でもあり、議会の指摘はすんなりと受け入れることができました。

 条例は、市民によって選ばれた首長が提案して、市民によって選ばれた議員・議会の賛成で制定されるという二重の民主性・正当性を有する有用性の高い政策形成手段と言われています(松下啓一著「励ます地方自治」(2016年、萌書房)86頁以下参照)。地方議会の形骸化が指摘される時代において、今回の議会とのやり取りは、一定の実りあるものとなったのではないかと、ドタバタしながらも、内心喜ばしく見ていた次第です。

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